【ペイハラとは？】医療現場の患者ハラスメントが話題に

2025年4月21日

2025年4月20日、SNSで「#ペイハラ」が話題に。

発端は、俳優・広末涼子さんの逮捕報道（看護師への暴行容疑、後に釈放）と、医療・介護現場での「ペイシェントハラスメント（ペイハラ）」の深刻化を報じたYahoo!ニュース（ANN）。

ペイハラとは、患者や家族が医療従事者に暴言、暴力、理不尽な要求を突きつける行為だ。物価高や社会不安が高まる中、医療現場のストレスが表面化。

「いまバズ！」が、ペイハラの定義、事例、対策を「ペイハラとは？」に答える形で解説します。

ペイハラとは？定義と背景

**ペイハラ（ペイシェントハラスメント）**とは、患者やその家族・関係者が、医師、看護師、介護士などの医療・介護従事者に対し、暴言、暴力、セクシャルハラスメント、執拗なクレームなど、人格や尊厳を傷つける行為を指す和製英語。

「モンスター患者」「難渋患者」とも関連し、自己中心的で理不尽な要求が特徴。

ペイハラが注目される背景には、医療現場の過酷な環境がある。2025年、日本の医療従事者は人手不足（看護師不足率12％、日本看護協会2024年）と長時間労働（平均週50時間、厚労省2024年）に直面。

物価高（インフレ率2％超、IMF 2025年2月）や円安で生活圧迫も重なり、患者側のストレスが医療従事者にぶつけられるケースが増加。

SNSで「#ペイハラ」がトレンド入りした4月20日は、広末さんの逮捕報道が引き金となり、「医療現場の我慢の限界」が話題に。

4月20日、Yahoo!ニュース（ANN）が「深刻化するペイハラ対策」と題し、広末涼子さんの逮捕を報じた。

広末さんは看護師を「蹴る、引っかく」行為で現行犯逮捕（後に釈放）。河北総合病院の鎌田孝一院長は「患者からの暴言や暴力は日常的」と証言。この報道がXで拡散され、「#ペイハラ」がトレンド入り。

「広末の件でペイハラ知った。医療従事者かわいそう」

「患者のストレスが暴力になるの異常」

と共感を集めた。

ペイハラの事例は多岐にわたる。日本看護協会（2017年）によると、看護師が受けるペイハラは「性的言動」（例：「触らせろ」）、「身体的攻撃」（例：殴る、物を投げる）、「精神的攻撃」（例：「バカ」「死ね」）が上位。

長崎県医師会（2020年）では、77病院の半数超がペイハラ経験を報告し、千葉市医師会も過半数が「暴言やネット誹謗中傷」を受けたと回答。

2025年、物価高や社会不安（トランプ関税の経済影響など）が患者の不満を増幅し、ペイハラが「新たな社会問題」と認識されている。

ペイハラは、医療従事者のメンタルと職場環境を脅かす。以下、典型的な事例

暴言・精神的攻撃
- 「薬が効かない、お前が無能だからだ」「殺すぞ」と怒鳴る。
- ネットで「この医者はヤブ」と誹謗中傷（医師の45％が経験、千葉市医師会）。
暴力・身体的攻撃
- 診察待ちに不満で看護師を殴る、物を投げる（看護師の20％が経験、日本看護協会2017年）。
- 広末さんの事例（看護師を蹴る、引っかく）。
理不尽な要求
- 「ネット情報の方が正しい、診断変えろ」「別の病院を訴える診断書を書け」と強要。
- 予防接種の副作用で「熱が出た」とクレーム（康oshi.works、2019年）。
セクシャルハラスメント
- 「若い看護師を呼べ」「触らせろ」などの性的発言（看護師の15％が経験、日本看護協会）。

AERA（2025年4月7日号）によると、在宅医療でもペイハラが深刻化。

「やよい在宅クリニック」では、患者家族が「役立たず」と罵り、命の危険を感じるケースも

ペイハラの原因は、患者側と社会構造の両方に根ざす。

患者側のストレス
- 病気や高額な医療費（自己負担3割、平均年20万円、厚労省2024年）への不安。
- 物価高（エンゲル係数28.3％、総務省2024年）や円安で生活が逼迫し、感情のコントロールを失う。
- 例：トランプ関税で食品価格5～10％上昇（総務省2024年）、患者の不満が医療従事者に。
情報過多と誤解
- ネット情報の過信（例：「この薬は危険」と主張）で医師の診断を拒否（康oshi.works、2019年）。
- 医療リテラシーの低さ（OECD、2023年：日本の健康教育は後進国レベル）。
医療現場の構造
- 人手不足で待ち時間増（平均40分、厚労省2024年）、患者の不満が爆発。
- 医療従事者の過労（週50時間超、25％が燃え尽き症候群、日本看護協会2024年）が対応の質を下げる悪循環。
社会のストレス
- 2025年の経済不安（日経4％下落、AP 2025年4月3日）や政治不信（「#減税の財源」での財務省批判）が、患者の攻撃性を増幅。

SNSでは「患者もストレスだけど、医療従事者に当たるのは違う」など共感を集め、ペイハラの背景に社会全体の課題があると認識された。

ペイハラ対策は、医療機関、政府、患者教育の連携が鍵だ。以下、進行中の取り組み。

医療機関の対応
- 方針策定：長崎みなとメディカルセンターは「ペイハラ対応マニュアル」を導入（）。やよい在宅クリニックは契約時に「ペイハラ禁止」を明示（）。
- スタッフ教育：ALSOKは、暴言への対処法やデエスカレーション研修を提供（）。
- 法的措置：ニューハート・ワタナベ国際病院は、暴力行為に警察通報を徹底（）。
政府・自治体の動き
- 東京都はカスハラ防止条例（2024年制定）を参考に、ペイハラ対策を検討（JBpress、2024年3月）。小池知事は「医療従事者の安全確保」を強調（）。
- 厚労省はペイハラ対策マニュアルを2024年に公開、企業や病院に導入を促す（）。
患者教育
- 日本医師会は「医療リテラシー向上キャンペーン」（2024年開始）で、ネット情報の検証法を啓発。
- 例：NHK「健康番組」がペイハラの悪影響を特集（2025年3月）。